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IFRSにおける会計ポイント

IFRSとは

IFRS(International Financial Reporting Standards、国際会計基準)とは国際会計基準審議会(IASB)およびIASBの前身である国際会計基準委員会(IASC)により設定された会計基準(IASおよびIFRS)、および国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)、IFRICの前身である解釈指針委員会(SIC)により発表された解釈指針(SICsおよびIFRICs)の総称です。

国境を越えた投資、事業展開、資金調達等の拡大を背景として、財務諸表の国際間での比較可能性を高めるため、企業の会計基準を国際的に統一化しようという動きが現在、加速しています。その統一化した基準が国際会計基準であるIFRS(International Financial Reporting Standards)です。

IFRSの適用時期

現在日本では日本基準とIFRSとの差異を解消すべく、日本基準とIFRSのコンバージェンスを進めており、IFRS自体の任意適用または、上場企業への強制適用が現在検討されています。 日本での適用は、国際的に事業を展開し、IFRSによる財務諸表を作成する能力のある企業であれば2010年3月期からIFRSに基づく連結財務諸表の作成が可能になりました。

また2012年に強制適用開始の時期を判断される予定で、早ければ2015年から国内の全上場企業にIFRSを使った決算報告が義務づけられる見通しとなっています。 米国においても2014年から上場企業に対してIFRSの強制適用が検討されています。

IFRSの特徴

IFRSには主に3つの特徴が有ります。

(1) 資産・負債アプローチ

資産・負債アプローチとは純資産価額の期首と期末の変動を計算し、それを損益ととらえるという、いわばバランスシート(貸借対照表)を中心とする考え方です。 従来の日本基準を含む伝統的な会計アプローチは、期間損益の測定を重視(収益費用アプローチ)したものであり、資産・負債の測定基準として「取得原価主義」が広く採用されてきましたので、これまでの損益計算書中心の会計基準から、180換することとなります。

(2) 公正価値

ここでIFRSにおける「公正価値」とは「独立第三者間取引条件において、知識のある自発的な当事者の間で(強制なく互いの判断において)、資産が交換され、又は負債が決済されるであろう金額」とされます。つまり時価主義的性格を持っているということです。

(3) 原則主義

原理・原則を重視し、細則や数値基準は示さないという考え方です。ルールに縛られない一方、会計基準を正しく理解した人材の育成や、判断の根拠を示す責任などが課せられるようになります。 第一の特徴「資産・負債アプローチ」で資産負債の測定が重要となるため、第二の特徴「公正価値」の重視につながり、IFRSにおいては可能な限り資産・負債を時価により測定するということに繋がります。

公正価値評価に求められるもの

IFRSにおいて「公正価値」評価が求められるものの資産・負債の例としては下記のものなどがあります。

  1. デリバティヴ、売却可能な金融資産(IAS32、39)
  2. 売却目的で保有する非流動資産と廃止事業(IFRS5)
  3. 企業結合により取得した資産・負債(IFRS3)
  4. 有形固定資産・無形固定資産の減損または再評価(IAS36、38)
  5. 投資不動産(IAS40)
  6. 年金資産(IAS19)
  7. 引当金(IAS37)
  8. 生物資産(IAS41)
  9. 株式報酬取引(IFRS2)

時価評価についてはどの資産を対象とするかということが問題となるかと思いますが、資産負債アプローチを厳密に考えればその対象は全てということになります。

しかしIASBは全てを時価評価とはせず、例えばIAS16号「有形固定資産」およびIAS38号「無形固定資産」では、原価モデルと再評価モデルの選択適用を認め、多くの企業が原価モデルを適用しているのが現状です。しかし金融商品については全てを時価評価させようとする方向で検討されているようです。 また他に、棚卸資産などは基本的に原価主義を取りつつも、正味実現可能価額、公正価値として扱い、原価と公正価値を比較して公正価値の方が低ければ、公正価値つまり時価まで評価減されるとうことが行われます。 つまりIFRSでは各資産において「公正価値」にふさわしい時価を測定し、貸借対照表にオンバランスするということが行われることになるのです。

公正価値評価について

IFRSの中で公正価値はIAS39号9項によって定義されています。 公正価値とは「独立第三者間取引条件において、知識のある自発的な当事者の間で、資産が交換され、又は負債が決済されるであろう金額」であり、つまり(1)相互に利害関係のない第三者間で行われ、(2)知識のある自発的な当事者が行い、(3)資産が交換され、または負債が決済されるであろう金額(入口価格、出口価格両方を含む)の条件を満たす価値となります。 またこの公正価値は企業の清算、事業規模の縮小などの意図のない継続企業を前提としており、強制された取引や、非自発的な清算、投げ売りは公正価値ではありません。

貸借対照表にオンバランスするということが行われることになるのです。

具体的な測定方法

  1. 活発な取引市場がある場合(*1)→当該市場における取引価額を用いて評価
  2. 活発な市場が無い場合→特定の評価技法を用いて評価(*2)

(*1)取引所、ディーラー、ブローカー、業界団体、価格決定機関、規制機関などから容易かつ定期的に入手可能である場合。
(*2)この技法には、(ⅰ)知識のある自発的な独立第三者間での最近の取引価格事例、(ⅱ)ほぼ同じ他の金融商品の現在の公正価値の参照、(ⅲ)DCF法、ⅳオプション価格算定モデル、が含まれます。また該当資産の市場参加者が価格付けに一般的に使用している評価技法が存在し、その技法が実際の市場取引で得られる価格の信頼性のある見積を提供することが立証されていれば、その技法を使用する。(2)においても市場において観察可能な入力数値や市場参加者の視点が重視されています。

上記(2)の場合、その評価技法は(ⅰ)市場参加者が価格設定時に考慮するであろう全ての事柄が織り込まれており、(ⅱ)その資産の価格算定の価格算定について経済学的方法論と整合している。ものとされています。この評価技法へのアプローチは、IASBが2009年5月に公表した公開草案でより具体的に記載されました。

IASBが2009年5月に公表した公開草案によると評価技法のアプローチは、

  1. マーケットアプローチ同一もしくは比較可能な資産、負債に関する市場取引により生成される価格の他の情報を用いる
  2. インカムアプローチ将来の利益を割引現在価値に変換する評価技法です。DCF法、ブラック・ショールズ・モデルや二項モデルなどのオプション価格が含まれます
  3. コストアプローチ該当資産と同等の効用を有する代替資産を買い手が購入、生産等するために必要なコストに劣化分を調整した金額となります。

以上の3つでこのアプローチと整合する評価技法を用いなければいけないとされています。 もちろん場合によっては複数の方法の利用を行い、ウェイト付け等も行います。